『歎異抄』の魅力を初心者にも分かりやすく伝える『歎異抄大學』が、令和5年11月5日、京都府最大の展示施設「京都市勧業館・みやこめっせ」(京都市)で開催されました。
親鸞聖人のご生誕の地でもある古都京都で、『歎異抄』を誰もが学べる「歎異抄大學」が開催されました。そこには講演会や映画が上映されるメインステージ、講座や展示、体験コーナーなどが設けられていました。
全国から集った『歎異抄』ファンが、展示・体験コーナーを楽しんだり、多彩な講座に耳を傾けました。
『歎異抄』ファンが京都に集まる
この歎異抄大學は今回で4度目。前回は東京ビッグサイトで行われました。
イベントリポート(参加者の感想あり) 『歎異抄』の魅力を初心者にも分かりやすく伝える『歎異抄大學』が、令和5年5月14日、日本最大の展示施設「東京ビッグサイト」(江東区)で開催されました。 「お台場…
11月としては記録的な暖かさだったこの日、午前9時30分の開場前から行列ができる盛況で急きょ、30分以上前倒しでスタートしました。
親鸞聖人の京都でのご足跡や『歎異抄』をたたえる著名人の声を示した展示コーナー、また、毛筆で仏語を書く体験コーナーなどに人があふれていました。
その内容の一部を紹介しましょう。
21世紀文明の基礎は仏教 「7章」が示す真の幸福
20世紀最大の哲学者ハイデガーは、なぜ『歎異抄』を絶賛したのか。渡部隆志先生が、西洋哲学では知りえなかった「老病死を超えた幸せ」を、『歎異抄』7章の「無碍の一道」のお言葉から明示しました。
なぜ“善人より悪人”なのか 講師5人がリレー解説
関西圏の5人の講師が『歎異抄』の解説をしました。宮崎尚史講師は、なぜ『歎異抄』では、「善人より悪人」と言われるのか、三浦涼子講師は、「摂取不捨の利益」(第1章)とはどんなことかについて講義をしました。
「ペットロス」切り口に 青年獣医が語る『歎異抄』(5章)
兵庫県宝塚市の獣医のプレゼンターは、ペットロスを縁に、『歎異抄』第五章の「一切の有情は皆もって世々生々の父母兄弟なり」のお言葉について解説しました。
【見る】「ご旧跡」をパネルで紹介
親鸞聖人が出家得度の式をあげられた「青蓮院」や、法然上人がご説法なされた「吉水の草庵」など、みやこめっせ周辺のご旧跡も地図入りで紹介。歴史の重みを感じつつ、多く方が教えに親しみました。
【書く】仏語で筆も心も躍る
『歎異抄』の仏語を書写するコーナーも大人気で、書道協会・師範の手ほどきを受け、ブラジルから来たという青年も挑戦していました。
【聞く】ベテラン声優の朗読
ベテラン声優・鈴木弘子さんの『歎異抄』解説書の朗読に聴き入る。
【語る】いろりで仏法讃嘆
いろりを囲み、親鸞聖人のご生涯を描いた映画の一場面を再現。写真撮影や、映画のシーンを体験できるコーナーが用意されました。
キッズも挑戦!セリフクイズ
子供たちも、京都の親鸞聖人を描いた映画の台詞の穴埋め問題や、一般教養を問う〇×クイズに参加し、老若男女問わず楽しめる企画も用意されました。
「後序」読み解く 3つのキーワード
人生の目的を明示された『歎異抄』のキーワード「煩悩具足の凡夫」「火宅無常の世界」「ただ念仏のみぞまこと」を、高森光晴先生は講演し、満堂の聴衆は真剣に耳を傾けました。
煩悩具足の凡夫・火宅無常の世界は、万のこと皆もってそらごと・たわごと・真実あることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします。
引用:『歎異抄』後序
火宅のような不安な世界に住む、煩悩にまみれた人間のすべては、そらごと、たわごとばかりで、真実は一つもない。だた弥陀より賜った念仏のみが、まことである。
「これが『歎異抄』の真意なのか」「もっと知りたい」という声が、各所で聞かれました。
全国でのオンライン配信も
ご講演はインターネットで配信され、みやこメッセに来場できなかった方も全国で聞かれました。
参加者の感想
企画が特によかった理由を教えてください。
内容が充実していたと思います。(30代男性)
歎異抄について理解が深まりました。(50代女性)
講演で知らされたことや質問を、自由にお書きください。
親鸞聖人様、正直な方だと思います。自分に素直に結婚したこと。人間素直であれば今の私(心の中)に不安を感じずに歩けるのに~と知りました。(80代男性)
たとえ話がとても分かり易かった。(50代女性)
たとえ話の中で、白骨と藤ヅルが自分のことを言い当てられているようで、ドキッとしました。(20代男性)
煩悩で悪を作り、それを悪いと思わない自分を知らされました。(50代男性)
イベント全体で良かった点
京都らしい雰囲気が全体にあり、とてもよかった。(50代女性)
スタッフの方の親切、講師の方のやさしさ、本当にありがとうございました。(80代女性)
大変よかったです。次回も楽しみにしています。(50代男性)
時間を持て余すことなく充実していた。(60代男性)
古都京都で歎異抄を学び合う
京都は、親鸞聖人がお生まれになり、そしてお亡くなりになられた土地です。
700年前、唯円が耳の底に残る親鸞聖人の数々のお言葉を記した『歎異抄』は、今日なお多くの人を引き付けています。
『歎異抄』をまだ読んだことがない人も、読んだことのある人も、この機会に大いに学んでいただきたいと思います。
次回は、令和6年9月8日に「東京ビッグサイト」で開催予定です。
次はどのようなイベントになるのか、楽しみにしていただければと思います。